ソイプロテインとは 大豆たんぱく質の重要性
ソイプロテインとは、大豆(ソイ)を原料にした植物性のプロテインのこと。大豆に含まれている油脂などを取り除き、たんぱく質の部分だけを粉末状にしたものです。プロテインとはカタカナで表記するとおり英語(protein)での名称。日本語では「たんぱく質」のことです。サプリメントやプロテイン飲料などで目にすることが多いので、アスリートや筋肉をつけたい人が摂るものと思われがちですが、筋肉だけでなく骨や皮膚、臓器など私たちのカラダを構成する多くの組織で使われる健康管理にも欠かせない栄養素です。
厚生労働省の発表している「日本人の食事摂取基準2020年度版」によると、1日あたりの必要量は男性で65g・女性で50gと言われています。これは牛乳で摂ろうとすると、男性で約2リットル、女性では1.5リットルも飲まなくてはなりません。一つの食材だけで補うのはとても大変。だからこそ、いろいろな食材からバランス良く摂取したいですね。
※日本食品標準成分表2020年版(八訂)調べ
たんぱく質は大きく分けると肉や魚などの動物から摂れる「動物性たんぱく質」と、豆や大豆製品・穀物などから摂れる「植物性たんぱく質」の2つに分かれます。
さらにそれぞれ細かく分けられ、動物性たんぱく質は、牛乳から乳脂肪分と固形たんぱく質を除いた(ヨーグルトを開けた時によく見る透明な上澄み液・乳清のこと)「ホエイたんぱく質」、同じく牛乳を原料としホエイを作るために除いた固形たんぱく質(チーズとして固まるたんぱく質のこと)「カゼインたんぱく質」、コレステロールを含まない卵の白身の部分を使用した「卵白たんぱく質」の3つに、植物性たんぱく質は大豆原料の「大豆たんぱく質」と小麦原料の「小麦たんぱく質」の2つに分かれます。
それぞれの特徴はどのようなものがあるのでしょうか。
動物性たんぱく質はカラダに必要なアミノ酸を豊富にバランスよく含んでいます。特にヒトのカラダのたんぱく質を構成している20種類のアミノ酸のうち9種類のアミノ酸は体内で作ることができず、食事からしか摂取することができません。この9種類のアミノ酸を「必須アミノ酸」と言いますが、動物性たんぱく質には、植物性たんぱく質よりも必須アミノ酸が多く含まれています。そのため筋肉作りや成長期には欠かせないたんぱく質であると言われています。
植物性たんぱく質は、脂質が少なく食物繊維やポリフェノール(イソフラボン)を含んでいます。脂肪燃焼効果が動物性たんぱく質よりも優れているため、体脂肪や生活習慣病の気になる人、低脂肪・低カロリーの食事を心がけたい時に摂りたいたんぱく質と言われています。
大豆たんぱく質(ソイプロテイン)の重要性
動物性たんぱく質と同様に、植物性の大豆たんぱく質にも必須アミノ酸がバランスよく含まれていると言われています。一方で、栄養価の高い大豆たんぱく質ですが、脂肪やコレステロールの脂質は動物性たんぱく質より低いとされています。
また、ゆっくりとカラダに吸収されていくのが特徴とされているので、満腹感が長く続くことからダイエット関連の情報によく取り上げられているたんぱく質です。
加えて、肌のハリや髪の毛のツヤなど女性に嬉しい効果が高いと言われている女性ホルモン「エストロゲン(卵胞ホルモン)」と似た働きをするイソフラボンも含まれています。エストロゲンは妊娠・出産にとても大切な働きをする他に、心身のバランスを整える役割もあります。エストロゲンの分泌量低下の原因の1つに加齢の影響があげられますが、バランスの悪い食事・冷え・ストレスなどによる自律神経の乱れも原因とされています。イソフラボンの効果として、骨からカルシウムが溶けだすことを防ぐ働きもあると言われていますので、骨粗鬆症を予防したい方には、適度な運動やカルシウムの摂取などと合わせて活用されてみることをおすすめしたいですね。
豊富な栄養を含む「ソイプロテイン」は、生活習慣の見直しとともに日頃の生活の中で摂取することを心がけると良いですね。
昔から大豆は「畑のお肉」と呼ばれるほど、良質なたんぱく質が多く含まれています。しかも、たんぱく質の他にも食物繊維・脂質・サポニン・マグネシウム・カルシウムなどのミネラル・ビタミン等の豊富な栄養素が含まれているのです。
食物繊維には腸内環境を整え便秘の改善や血糖値・コレステロールの上昇を抑え糖質が体の中で吸収・分解されるスピードを緩やかにしてくれる働きがあるとされています。
脂質(レシチン)は、脳や神経、肝臓や内臓、皮膚など身体の細胞膜に働きかける成分です。ギリシャ語の卵黄を意味するレキトースに由来し鶏卵に多く含まれる栄養素ですが大豆にも豊富に含まれています。レシチンは細かな油の粒を乳化させる作用があります。マヨネーズ(卵・酢・油で作られる)が水と油に分離しないのは卵黄の中のレシチンの力を利用したものです。
このような性質により、血液中のコレステロールを排出し血流を良くすることで、血管内を綺麗にして心臓病や脳卒中の予防に加え、記憶力の向上、認知症の予防にも効果あるといわれています。
サポニンの語源はシャボンと同じで洗剤を意味するラテン語サポに由来するといわれています。
豆をゆでる時に浮き出る泡は、渋みや苦み、えぐみのもとになるため通常は「灰汁(アク)」として取り除きますが、この中にサポニンが多く含まれています。サポニンの効果には、ガンや老化の原因となる過酸化脂質の排除により余分な脂肪を排出し、コレステロールを低下させる働きが肥満予防に効果が期待されます。
マグネシウムやカルシウムには、骨を丈夫にするだけでなく骨をしなやかにする効果も持つため、外から加わる力を吸収して骨折を予防します。また、マグネシウムは骨からカルシウムが溶け出すのを防ぎ、体内のカルシウム量を調整してくれます。
大豆を使用した製品は、皆様ご存じの通り、非常に身近にあるものばかり。納豆・豆腐・油揚げ・豆乳などの加工食品はもとより、味噌や醤油といった普段の料理に使っている調味料の原料として私たちの生活には欠かせない食材です。
また、大豆から作った大豆ミートは海外ではかなり以前から注目の的。たんぱく質の豊富さから、お肉に置き換える食品として今や日本もスーパーやコンビニでも目にすることが多くなってきています。
近年大豆は日本だけでなく世界中から注目されている食材です。
新型コロナウィルスの感染拡大防止による外出自粛などで、健康に対する意識が向上し、比較的安価なため気軽に取り入れやすい大豆の需要は、ますます高まってきたのではないでしょうか。