チーズとプロテインのおいしい関係

 
食材やおつまみとして人気の高いチーズ。スーパーでも数種類のチーズが常時置いてあり、専門店もあるほどです。一口にチーズといっても色々な種類があり、見た目や味もそうですが栄養価も種類によって違います。
 
 
◆チーズに含まれるプロテイン(たんぱく質)の量は?◆
 
チーズの成分に含まれるプロテインの割合は、なんと20〜30%!非常に多くの割合を占めています。プロテインは、カラダの筋肉を作ったり内臓の働きを維持したりと、私たちのカラダを構成するのにとても必要な栄養素。成長期の子供はもちろん老年期の方たちにも、しっかり摂取してほしい栄養素です。
チーズには良質のプロテインが含まれていて、体内では生成することのできない必須アミノ酸も豊富に含まれています。その上、製造工程の発酵・熟成によりたんぱく質(プロテイン)が小さな分子になっているため、消化吸収されやすい形になっています。また、チーズに含まれるたんぱく質の一つであるガゼインには、胃の中で消化を助ける働きをします。
チーズは乳や乳から得られる原料を使い、乳酸菌や凝乳酵素(レンネット)によって凝固させ乳清(ホエイ)を取り除いた製品です。チーズを100グラム作るのに必要な乳は1リットルと言われています。10倍の乳が凝縮して作られているので、プロテインをはじめ、乳にバランスよく含まれている栄養素が濃縮されているのですね。

 
 
◆チーズの種類は?◆
 
チーズは大きく「ナチュラルチーズ」と「プロセスチーズ」に分かれます。
「ナチュラルチーズ」は、生乳を乳酸菌やカビで発酵させて熟成させたものです。
熱処理を行わないので、乳酸菌を生きたま摂り入れることができます。また、製造方法上の乳酸菌やカビなどの微生物・生産地の風土(テロワール)などによって、形や風味も大きく変わるのが特徴で、「フレッシュ・白カビ・青カビ・ウォッシュ・シェブール・セミハード・ハード」に分けられます。

「プロセスチーズ」は、ナチュラルチーズを粉砕し加熱処理し再び成形したものです。加熱処理をしているので乳酸菌は死滅してしまいますが、保存性が高くなっている為、日持ちがし品質が安定しているので、比較的お手頃な価格となっています。
 
種類により特徴があるので、自分の好みに合うチーズを探すのも楽しいかもしれませんね。


◆どのチーズにどれくらいのプロテイン(たんぱく質)が含まれているの?◆
 
「チーズには多くのプロテインが含まれている」と言っても、どの種類のチーズにどれくらいのプロテインが含まれているのでしょうか。下の表は100g中のチーズの種類別に栄養成分を比較したものです。
製造の違いによる成分の違いはありますが、どのチーズも牛乳よりもたんぱく質が多く含まれていることがわかりますね。
パルメザンチーズはたんぱく質もカルシウムも多いので、お料理に積極的に使っても良いですね。
6Pチーズなどでお馴染みのプロセスチーズは持ち運びも便利なので、お弁当やおやつに手軽にプロテインの補給に役立ててみてはいかがでしょう。

     



 


◆チーズが「からだに良い食べ物」と言われている訳◆
 
保存が効きそのまま食べられ手軽に栄養補給ができるチーズですが、先ほどの成分表によると、プロテインよりももっと含まれているのが、「脂肪」です。主成分の25〜35%を占める為、カロリーが高いと敬遠される方も多いと思います。けれど脂肪は、体調維持に必要な栄養素です。チーズに含まれる脂肪は、揮発性脂肪酸や中鎖脂肪酸が含まれていて消化の過程で分解されやすく、速やかにエネルギーに変わるので、太りにくいと言われていて、チーズの食感や香りにも影響しています。また、チーズが消化の良い理由には製造工程で使われる乳酸菌の働きにあります。乳酸菌は生乳(ガゼイン)のたんぱく質をアミノ酸に分解する働きがあり、生乳そのものよりもカラダに消化吸収されやすい状態になっているからです。また、皆さんもご存じの通り乳酸菌には腸内環境を整える働きがあり、整腸作用や便秘の解消に役立ってくれます。
 

◆チーズの適量はどれくらい?◆
 
基礎代謝(何もしていなくても消化するカロリーのこと)は、成人男性では1500キロカロリー、女性では1200キロカロリーです。1日に必要な摂取カロリーは基礎代謝のおよそ1.5倍〜2倍程度ですから、2〜3000キロカロリーが平均となります。プロセスチーズのカロリーが100グラム当たり約340キロカロリーですので、全てのカロリーをチーズだけで摂ると考えると約590〜880グラムが上限となるでしょう。けれど、1つの食材のみで1日に必要なカロリーを賄うのは望ましくありませんよね。色々な食材からバランスよく栄養を摂ることを心掛けましょう。そうすると、チーズの1日の適量はどれくらいなのでしょう。おやつや嗜好品の目安が1日200キロカロリーと言われていますので、前述のプロセスチーズで換算すると約60グラムまでとなるでしょう。あくまでもカロリー的な計算となりますが、チーズには塩分も含まれていますので食べ過ぎには注意が必要ですね。

 
 
◆おまけ◆
 
人類が作った最古の加工・発酵食品とも言われるチーズ。奈良時代の遺跡から発掘された木簡から「蘇(そ)」という乳製品が朝廷に献上されていたという記録が残っています。「蘇」はモンゴルのチーズとほとんど同じ製法の乳製品であり、6世紀ごろに仏教と一緒に伝来したとされています。